長野県軽井沢町にお住まいのしなちくさん一家は、住宅ローンを使って移住先の新居を購入。冬は暖かく、夏は風が吹き抜ける、木のぬくもりを感じられる空間を手に入れました。
オーナーさんデータ
長野県 しなちくさんご一家(仮名)
- 家族構成:
- 夫・しなちくさん(50歳・会社経営)、妻(45歳・主婦)、子2人、犬2匹
- 建設時の世帯年収:
- 700〜1,000万円
- 購入した住宅:
- Freeqhomes「Booots」(4LDK+6畳フリースペース、土地面積約340m2、延床面積約109m2)
- 購入価格:
- 3,600万円(建物2,400万円、土地1,200万円)
- 利用ローン:
- ろうきん「住宅ローン」
- 金利タイプ:
- 固定期間選択型
- 金利:
- 1.21%(2017年11月実行)
- ローン借入金額:
- 2,900万円
- 借入期間:
- 32年
- 毎月の返済額:
- 9万円
- 仕事で東京と軽井沢の2拠点生活を経験。震災をきっかけに軽井沢移住を決断しました。
- しなちく
- もともと、長野県での事業展開に備えて、2008年から東京の住居と軽井沢の別荘の2拠点生活をしていました。長野県の出身なので、Uターン移住も視野に入れていましたが、当初は軽井沢に移住する予定は全くありませんでした。
- 2拠点生活で数年過ごすうちに、軽井沢に住むメリットが見えてきました。東京まで新幹線を使えば1時間ほどで移動できること、移住者受け入れに好意的であり移住者が多いこと、豊かな自然に囲まれながらも田舎過ぎず、丁度いい具合で都会の雰囲気も感じられたことが挙げられます。
- そんな中、移住を考え始めるきっかけになったのは、2011年の東日本大震災です。東京でガソリンや食料品などの流通が麻痺していたときに、長野県ではほとんど支障が無かったのです。そのことに驚愕した経験から、環境や安全面を踏まえて真剣に移住を考え始めることになりました。そして2016年夏頃に、娘が中学生になるタイミングで移住することを決意しました。
- 2度目の家づくり。前回の反省を活かした新居を、規格住宅でも建てることができました。
- しなちく
- 実は、家を建てるのは2度目。前回は東京に家を建てたのですが、その時の反省点を活かしたいと考えました。
- 重視したのは、建材は新建材ではなく無垢材を使用した「木のぬくもりを感じられる家」であること、シンプルだけどどこか遊び心がある「楽しめる家」であること、自分たちの行動スタイルに合わせた収納や家事動線などに考慮した「片付く家」であること。これらを叶えられるハウスメーカーを探しました。
- 移住を現実的に考え始めようとしたタイミングで、当時借りていた軽井沢の別荘に、移住支援を行う住宅展示場施設のチラシが入っていました。軽い気持ちで向かったところ、なんとなく抱いていた新居のイメージとピッタリのモデルハウスがあったので、無料宿泊体験をさせてもらうとすっかり気に入りました。最終的に、住宅ブランドを「Freeqhomes」(フリークホームズ)の「Booots」に決定しました。
- こちらは「規格住宅」というもので、事前に決められた規格の資材やデザインを、自由にカスタマイズしていくというものです。設計内容のパターンが決まっているため安く仕上がるのですが、注文住宅に比べると、設計できる自由度が下がる印象を持っていました。しかし話を聞いていくと、自分たちのこだわりを入れるには問題ないと判断しました。
- 寒冷地でも暖かく過ごす。軽井沢ならではの土地柄を考慮した造りです。
- しなちく
- 寒冷地なので、暖房効率の良さはとても重要です。高気密・高断熱で、窓の性能も見合ったものになっています。一方で、圧迫感を感じないように天井を高くして、吹き抜けを採用しました。一般的に、吹き抜けは熱効率を下げると心配される点ですが、家の性能が十分なので、暖かさに問題はありません。吹き抜けの開放感と暖かさの、両方を叶えることができました。
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開放感のあるリビングルームの吹き抜けと、2階のフリースペース。奥にあるのはキッチン
- 長い冬を過ごすために欠かせない暖房器具は「火」が見えるものを希望しました。薪ストーブは薪の調達に手間がかかるので、細粉された木材を燃料として使用し、メンテナンスも簡単な「ペレットストーブ」を選択しました。
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大きな窓から明るい光が入る土間のリビングルーム。冬にはペレットストーブが大活躍
- また、軽井沢のシンボルである浅間山が見えること、避暑地ならではの涼しい風を感じられる、風通しの良い造りにもこだわりました。
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キッチンから見えるダイニング。まるでカフェのような雰囲気。
- 自然を感じられる生活。季節の移ろいを楽しんでいます。
- しなちく
- 時間の過ごし方で、東京の家と圧倒的に変わったことは、いわゆる「庭いじり」の時間が増えたことです。山から切り出した木を植えてもらい、試行錯誤しながら育てています。
- 家庭菜園で育った新鮮な野菜を食べることも楽しみです。近所の方とのコミュニケーションも増え、庭先でBBQをすることもあります。
- 一方で、季節を肌で感じながら、ボケーッと風にあたったりする時間も存分に過ごしています。東京を中心とした生活で忘れていた、ホッとする感覚が蘇ってきた感じです。
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2Fのフリースペースから見える景色。大きな窓の向こうには、軽井沢の自然が広がる
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庭師に植えてもらった木々。移住以前は植物に興味はなかったが、今では庭いじりが楽しみに
- 住宅ローン借入額は2,900万円。ろうきんの「住宅ローン・固定期間選択型」を選びました。
- しなちく
- 私が会社経営者であること以上に、移住であったことが住宅ローン審査にとっての高いハードルとなりました。実は、移住の場合のローン審査は移住先での収入の継続性や、移住の理由などをシビアに見られるのです。収入に関しては、移住後も問題が無いように準備していましたので、可能な限りの根拠データを付けて説明をしたにもかかわらず、希望金額から大きく減額されたり、総額の4割の頭金を用意することを条件提示されたりすることもありました。
- このような状況だったので、あきらめかけていたのですが、運良く「ろうきん」で借りることができました。経営者に貸してくれるはずがないと思い込んでいたので、あきらめずに相談してよかったです。
- 最後に、これから移住して新居を建てたいと考えている人へのメッセージ伺いました。
- しなちく
- 移住の注意点としてよく言われることですが、いきなり移住先で新居を建てることはおすすめできません。その地域の文化や風習、自然環境や利便性を確認しておく必要があると思います。私たちは約10年の2拠点生活を経て、ある程度の確証を持って動いたつもりでしたが、町内でも地域が違っていたためか、予想以上に別世界でした。先のことにはなりますが、老いた後に公共交通機関が利用しやすいかどうかも無視できません。
- そして、それら全てがクリアになったとしても、住宅ローンを組めるかどうかが最後の課題として待っています。私たちは「そこまで聞いてくる?」と思うほどの、かなり突っ込まれた審査をされました。軽井沢近辺に移住をしようとしていた方が、住宅ローンで挫折しているケースを何例も聞いています。
- こちらをクリア出来れば、思い描いている以上の暮らしが移住先で待っているかもしれません。少なくともウチは成功だったと思っています。
ライターからのコメント。
開放感のある、明るい吹き抜けのあるリビングルームが印象的なお家。リゾート地である軽井沢の自然に囲まれた移住生活を満喫しているようですね。
移住の場合、元の居住地の近くに家を建てる場合よりも住宅ローンの審査で確認事項が増えるようです。また金融機関によって提示される条件が異なるようですので、しなちくさんのように、収入を確保できている根拠を説明できるようにし、あきらめずに金融機関を探すことが大切です。
参考リンク
※今回ご協力いただいたしなちくさんのブログ「軽井沢移住といえづくり」のURLは https://ameblo.jp/koakanga/
文/竹中唯、企画/カデナクリエイト、編集/イー・ローン