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FPが解説!ローンのあれこれ!誰もが気になるローンのあれやこれや

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ローンを検討するにあたり、誰もが気になる審査や金利のことなど・・。数あるローンの中から賢くローンを選ぶにあたり、ポイントをファイナンシャル・プランナーが分かりやすく丁寧に説明します!これを読めば、きっとあなたもローンの達人・・!?

第10回 教育ローンと奨学金ってどちらがいい?違いや併用するケースについて知ろう! (2019年08月27日)

授業を聞いている生徒の画像

子どもの進学が間近に迫るにつれ、親にとって悩ましいのがお金の工面です。貯金だけで対応しきれない場合には、教育ローンや奨学金を利用する方法があります。
 しかし、「教育ローンと奨学金のどちらを選べば良いのだろう」と迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。今回は、両者の違いやメリット・デメリットを紹介します。内容を把握して、上手に活用していきましょう。

教育ローンと奨学金の違いとは

教育ローンと奨学金は、どちらも入学金や授業料、在学中の生活費など、進学に関して必要となる資金を借り入れるものです。しかし、似ているようで異なる特徴を持っています。それぞれの違いを知っておきましょう。

まず、奨学金にはおもに返済の必要がない「給付型」と、返済しなければいけない「貸与型」といった2種類があります。

一方の教育ローンは国やさまざまな民間金融機関で取り扱いがあり、個々のローンで金利設定や返済方法などが異なります。

ここでは、一般的な教育ローンと日本学生支援機構(JASSO)の奨学金(貸与型)との違いを見ていきましょう。

項目 一般的な教育ローン 奨学金
第一種 第二種
借入申込人
(返済する人)
学生の保護者 学生本人
申込方法 直接金融機関に申込む 学校を通じて申込む
申込時期 随時申込可能 決められた時期(学校ごとに設定):
・予約採用:高校3年生のときに在籍する高校を通じて予約申込み
・在学採用:進学後に進学先を通じて申込み
借入形態 /支給方法 2タイプあり:
・証書貸付型
・カードローン型
学生本人の口座に毎月一定額が振り込まれる
借入可能額 金融機関ごとに異なる 進学先と通学形態により決まり、月額2万円~6万4,000円
(※)
月額2万円~12万円(1万円単位)
利息有無 有利子 無利子 有利子
金利体系 2タイプあり:
・固定金利型
・変動金利型
・利率固定方式
・利率見直し方式(5年ごと)
適用金利 借入時の利率 貸与終了月の利率:
2023年3月貸与修了者の利率の場合:0.905%(固定方式)/0.30%(見直し方式)
返済開始のタイミング 借り入れの翌月から(在学中は利息のみの返済も可能) 貸与終了後(卒業など)の翌月から数えて7ヵ月目から開始
返済期間(借入期間) 金融機関ごとに異なる 貸与額と貸与月数により9年~20年の間で自動的に決まる
返済方法 月払い(ボーナス併用払い可能) 月払いまたはボーナス併用払いから選択

(※)申込時の家計収入が一定額以上の場合は、各区分の最高月額は選択できません。

教育ローンと奨学金それぞれのメリット、デメリット

子供がアルファベットを学習している画像

上の表で、教育ローンと奨学金の一般的な違いを説明しました。借り入れの必要性に応じて自分に合うほうを選びたいものですが、「無理なく返済できる」という視点で選ぶことも大切です。それぞれのメリットとデメリットを知って、計画的に利用するようにしましょう。

  一般的な教育ローン 奨学金
メリット ・いつでも申込みが可能で、緊急に資金が必要になっても対応しやすい
・一括で受け取れる金額が大きく、入学費用や授業料などのまとまった資金に利用しやすい(入学前に借入可能)
・借入時に利率がわかり、返済計画を立てやすい(タイプによっては金利変動あり)
・返済金額、期間など返済計画のカスタマイズがしやすい
・学生本人が返済をする必要がない
・低金利
・在学中に利息が発生しない
デメリット ・金額には上限が設けられている場合がある
・奨学金に比べると金利は高め
・保証料がかかるケースがある
・借入金額が高くなるほど、団体信用生命保険などの手続きが複雑
・申込時期が決められており、タイミングを逃すリスクがある
・収入における上限や学力の基準によって利用制限がある
・特に第一種奨学金については審査が厳しく、対象枠が狭い
・入学費用や授業料など、一時的な緊急必要資金に対応しにくい(貸与は入学後)
・貸与終了後に利率が決まるため、返済計画の見通しが立てにくい
・返済額は貸与額と貸与月数に応じて決められ、自分自身で決められない
・学生本人が卒業後に返済が始まり、返済完了までが最長20年と長め(あくまで学生本人が返済をする)

教育ローンと奨学金どちらがいいの?両方を併用など、色んなケースをみてみよう!

2人の女子学生が教科書を読んでいる画像

できるだけ、かかる利息を抑えて返済額を少なくするのが理想ですが、どちらを選ぶのが良いかは進学先や資金が必要となるケースごとに変わります。それぞれの特徴や、メリット・デメリットをふまえ、家庭ごとの経済状況と合わせながらより良いほうを選ぶのがおすすめです。

「入学金+前期学費」が払えないケース

教育ローンがおすすめです。メリット・デメリットの表のなかでも記載していますが、一般的に教育ローンはいつでも申込み可能です。

ネット申込みOKな金融機関が一般的で、審査もスピーディな傾向にあるので、急いでまとまった金額を支払わなければならないときには助かります。

一方、奨学金は申込時期が決められています。高校在学中に予約申込みをして、奨学金を受けられることが決まっても、実際お金が振り込まれるのは入学後となります。

月々振り込まれる奨学金のほかに、10万円・20万円・30万円・40万円・50万円と増額できる「入学時特別増額」制度もありますが、こちらも振り込まれるのは入学後になるため、入学前に必要となる資金としては利用できません。

「後期の学費」が払えないケース

大学への学費納付は年度初めにその年度分を一括で支払う方法と、前期・後期に分けて支払う方法がありますが、後者の前期・後期に分ける方法を採用している大学が多いようです。

後期学費の納付期限は大学により9月~11月頃とするところが多いため、教育ローンと奨学金のどちらでも間に合います。

ただし、奨学金を利用する場合には大学入学後の決められた時期(春ごろ)に申込まなければなりません。

また、一部の大学では申請すれば学費を月払いで納付可能とするところもありますが、一般的には年度あるいは半期でまとめて納付することになります。

奨学金を学費の納付に充てる場合には、月々口座に振り込まれる奨学金に手を付けず、貯めておいた分で指定された学費納付時期に支払うようにしなければなりません。

仮に、自宅から通う人が国立大学4年制の学部の半期分授業料(約30万円)を借りる場合で比較してみましょう。

前述したように、奨学金は返済期間と返済金額は自分では選べず、それまでに借りた金額および期間で自動的に決められます。返済総額もその結果で決まります。

返済総額が同程度になるように教育ローンの場合でシミュレーションした一例が次の通りです。なお、シミュレーション条件は次のように仮定します。

  • 学業期間:4年
  • 奨学金:貸与利率1%
  • 教育ローン:借入利率1.8%(変動)、借入期間5年
教育ローン 奨学金(第二種)
借入金額 30万円 総額30万円
(月額5万円×6ヵ月)
返済期間 5年 7 年
※在学中は返済しない「在学猶予」を利用する場合
返済月額×回数 5,232円×60回 3,716円×83回
3,755円(最終月)
返済総額 31万3,897円 31万2,183 円

※教育ローンのシミュレーションは、「イー・ローン」の返済額シミュレーションを使用

※奨学金のシミュレーションは、日本学生支援機構の「奨学金貸与・返済シミュレーション」を使用

昨今の金利状況では、教育ローンに比べて奨学金のほうが金利は低めです。しかし、奨学金の利率は申込時にはわからないため、返済開始時になって変わる可能性があることを忘れてはいけません。

教育ローンでは変動金利の商品のほうが固定金利に比べて実質金利が低めです。奨学金の場合とは違い、借り入れしてからすぐに返済が始まりますので、できるだけ借入期間を短くすることで、返済中に金利が上がるリスクを抑えることができるでしょう。

返済回数が2年少ない分、毎回の返済額は奨学金よりも大きいですが、すぐに必要な学費分をとりあえずローンで工面しておいて、ボーナスや臨時収入が入ったときなどに繰上返済で返してしまうという利用の仕方もあります。予定より先に返済してしまえば支払うべきだった利息を削減できますので、返済総額は奨学金と比べてさらに少なくなります。

2年生以降の学費が払えないケース

上記例同様、どちらも利用可能です。ただし、奨学金利用の場合、2年生になってからの申込みでは2年目前期学費の納付期限に間に合いません。1年生の春の時点で、奨学金に申込みを完了しておくことが必要です。

上記の場合と同様の条件で、2年生の1年間の学費利用と仮定して、借入金額60万円で比較してみましょう。

教育ローン 奨学金(第二種)
借入金額 60万円 総額60万円
(月額5万円×12ヵ月)
返済期間 6年 10 年
※在学中は返済しない「在学猶予」を利用する場合
返済月額×回数 8,797円×72回 5,280円×119回
5,319円(最終月)
返済総額 63万3,395円 63万3,639 円

※教育ローンのシミュレーションは、「イー・ローン」の返済額シミュレーションを使用

※奨学金のシミュレーションは、日本学生支援機構の「奨学金貸与・返済シミュレーション」を使用

奨学金の借入金額が大きくなる分、返済期間が長くなります。

教育ローンも同様に借入金額が大きくなりますが、奨学金の場合と違い、こちらもボーナスや臨時収入が入ったときなどに繰上返済で返してしまえば、結果的に返済総額を少なくすることが可能です。家計状況に合わせ、賢く利用すると良いでしょう。

なお、カードローン型の教育ローンでは、借入限度額の範囲内で繰り返し利用することが可能です。一括借り入れにこだわらず、返済しながら都度借り入れをするなど上手に利用してみましょう。

教育ローンと奨学金の両方を併用するケース

どちらか1つに絞るのではなく、それぞれの特徴やメリット・デメリットをふまえ、必要性や家計の状況に合わせて上手に併用する方法もあります。

例えば、比較的金額が大きい入学前後の費用を教育ローンで、在学中の費用を奨学金で補う方法も良いでしょう。

しかし、教育ローンよりも金利が低い(上限3%)のが奨学金のメリットとはいえ、在学中の学費を奨学金に頼りすぎてしまうと、卒業後に子どもへの負担が大きくなってしまいます。一般的に就職して間もない時期は給料も少なく、奨学金の返済が重荷になってしまうことは簡単に想像できるのではないでしょうか。

また、子どもの在学中は住宅ローンの返済や老後資金準備があり、親にとっても大変な時期です。親と子どもで負担を分担しながら、どちらでどれだけ借り入れて、どのように返していくのが自分たちにとってベストになるか、シミュレーションを繰り返してみると良いでしょう。

民間の教育ローンがおすすめの場合

上の部分では、おもに資金が必要となるタイミングによって教育ローンと奨学金のどちらが良いかを比較しました。ここでは、民間の教育ローンをおすすめするケースを紹介します。

奨学金や国の教育ローンの適用条件に合わない場合

国の教育ローンは、日本政策金融公庫が提供している公的融資制度です。詳しくは後述しますが、固定金利かつ民間の教育ローンよりも金利が低い傾向があります。

ただ、奨学金や国の教育ローンは、世帯人数および世帯年収、学力基準などさまざまな適用条件が細かく設定されているため、条件に合わない場合は利用できません。

そのため、奨学金や国の教育ローンの適用条件に合わない場合は、民間の教育ローンを検討してください。

なるべく早くまとまったお金が必要な場合

奨学金の貸与が入学後になることは前述した通りですが、国の教育ローンも融資までに時間がかかる傾向があります。そのため、緊急でお金が必要なケースでは利用しにくいことがデメリットです。

申込時期を逃してしまった場合だけでなく、早くまとまったお金が必要な場合などは、民間の教育ローンの利用を検討してみましょう。

学費の高い学校・学科に入学予定の場合

私立大学の医学部や歯学部など、学費が高い進学先に入学する場合は、特にまとまったお金が必要になるため、奨学金や国の教育ローンでは賄いきれない可能性があります。というのも、奨学金は利用条件の一つとして生計維持者の年収上限額の定めがあり、この基準を超えると利用できません。

また、国の教育ローンは融資の上限額が子ども1人に対して350万円以内が基本です。自宅外からの通学や留学の場合でも、最高450万円までしか借り入れできません。

このように、奨学金や国の教育ローンでは大きなお金を用意するのが難しいため、高額の教育資金が必要な場合は民間の教育ローンを検討してみるのがおすすめです。

奨学金がおすすめの場合

日本学生支援機構が定める学力や家計の基準を満たしていることが前提ですが、以下に当てはまる場合には奨学金の利用がおすすめです。

なるべく返済の負担が少なくなるように教育資金を確保したい場合

各適用条件を満たす必要がありますが、奨学金には返済不要の「給付型」の奨学金や、貸与型でも「無利子」で借りられる第一種奨学金があります。貸与型の有利子となる第二種奨学金の場合でも、多くの教育ローンと比べて基本的に金利が低いため、利息負担を抑えられるでしょう。

また、在学中には利息が発生せず、返済は貸与終了の翌月から数えた7ヵ月目から、つまり一般的には大学卒業後からとなっていることが特徴です。(在学中は返済しない在学猶予を利用した場合)

なかには、「企業返済支援制度」という、入社した従業員が利用していた奨学金の一部または全額を補助してくれる制度を、福利厚生として整えている企業もあります。企業返済支援制度の適用条件は、在籍年数や世帯年収など企業によってさまざまです。このような福利厚生を実施している企業に就職すれば、奨学金の返済負担を軽減できます。

教育資金の貸与が入学後でも問題ない場合

緊急にまとまった資金を用意する必要がなく、教育資金の貸与が入学後になっても問題ない場合は、金利が低めの奨学金がおすすめです。入学金や引っ越し費用など入学前に必要な教育資金を用意できる人は、申込期限内に奨学金を申込みましょう。

学費の高い学校・学科ではない場合

奨学金の貸与分だけで不足の資金を賄える場合は、奨学金がおすすめです。私立大学の医学部や歯学部など、学費の高い学校や学科ではない場合や、教育資金の一部を用立てたい場合などには、奨学金の利用を検討すると良いでしょう。

国の教育ローンがあることも知っておこう

前述したように、教育ローンには民間の金融機関が提供する商品だけでなく、日本政策金融公庫が提供する「国の教育ローン」もあります。金利は、固定金利1.95%(2023年3月時点)と低めですが、申込条件として世帯年収の上限が定められているのが特徴です。

年収上限額は、扶養している子どもの人数で異なり、例えば子ども1人の場合は世帯年収790万円(所得600万円)以下、子ども2人の場合は世帯年収890万円(所得690万円)以下となっています。

基本的な融資限度額は子ども1人につき350万円までですが、「自宅外からの通学や修業年限5年以上の大学(昼間部)に通う」「大学院に進学する」「留学」といった場合は、450万円までに上がります。

奨学金とは異なり申込時期に制限はありません。また、申込完了から実際に融資されるまでの期間は、20日程度が目安です。しかし、入学シーズン(10月~3月)は申込みが集中するため、申込内容の確認や審査、融資手続きに時間がかかる傾向です。そのため、国の教育ローンはお金が必要になる時期の約2ヵ月~3ヵ月前の申込みが推奨されています。

自分に合う教育ローンを選ぶために利用したい「イー・ローン」

最適な選択をするためには、さまざまな教育ローンを比較検討することが大切です。金利がわずかに変わるだけでも返済総額に影響することを忘れないようにしましょう。

とはいえ、さまざまな金融機関が教育ローンを提供しており、金融機関によって金利も異なります。教育ローンと奨学金を併用しようとする場合、「グズグズしているうちに奨学金の申込時期を逃してしまった」ということになっても困るため、教育ローン選びもスピーディに行なうことが大切です。

時間と労力を節約するためにも、日本最大級のローンデータベースから検索できるポータルサイト「イー・ローン」を利用してみてはいかがでしょうか。

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文/續 恵美子

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