不意の出費があって生活費が不足したときなどに、キャッシングは有効な手段です。
しかし、キャッシングは取り扱っている金融機関によって、金利や借入限度額を含め、異なる点が多くあります。金融機関ごとの特徴を理解して、自分に合った使い方を選ぶようにしましょう。
今回は、キャッシングの概要を説明しながら、カードローンとクレジットカード付帯サービスのキャッシングの金利相場はどれ位なのかご紹介します。
キャッシングの概要と金利
キャッシングは、具体的にはどのようなサービスなのでしょうか?ここでは、キャッシングの概要と提供している金融機関ごとの違い、利用する際の金利の特徴について解説します。
そもそもキャッシングとは
キャッシングとは、ATMなどを通じて「現金を借りられるサービス」の総称を指します。限度額内であれば、自由に借り入れできるので、急に現金が必要になったときなどに便利なサービスです。
キャッシングには2種類あり、カードローンとクレジットカードに付帯しているキャッシングが存在します。
どちらもお金を借りる方法という点では共通していますが、金利や借入限度額、返済方式、審査のスピードや実際に利用可能となるまでの日数などに違いがあるため、違いを理解して使い分けることが大切です。
キャッシングの種類
キャッシングの種類は主に以下の2つに分かれます。
カードローン
主に銀行や消費者金融が提供する限度額の範囲内で何度でも繰り返し借り入れができるローンのことです。
クレジットカード付帯サービスのキャッシング
買い物に使うクレジットカードに、現金を借り入れできるキャッシング機能がついたサービスのことです。
どちらもお金を借りることができるという点では共通しています。
最大の違いはキャッシングの金利
上記2つの最大の違いは、キャッシングの金利にあります。一般的にカードローンのほうが、クレジットカード付帯サービスのキャッシングよりも金利が低い傾向にあります。
下記は、あるカード会社の商品の比較です。
カードローン | クレジットカード | |
---|---|---|
キャッシング1回払い | 5.00% | 15.00~18.00% |
キャッシングリボ払い | 4.40~12.50% | 15.00~18.00% |
キャッシング1回払いとは、元金と利息を一括返済する方法です。例えば、毎月15日に締め切り、翌月10日に一括で返済します。借入期間を短くすることができるので、支払う利息の総額を低く抑えることができます。
一方、リボ払いはリボルビング払いの略で、借り入れした金額と元金を毎月一定額に分けて返済する方法です。なお、カードローンの場合、「残高スライド元利定額リボルビング方式」が一般的です。
残高スライド元利定額リボルビング方式とは、借入残高が減るにつれて、毎月の返済額も減っていく仕組みです。
一括返済ではなく分けて返済できるので、手元にまとまったお金がないという場合はおすすめです。ただし、返済期間が長くなるため、一括返済に比べて支払う利息の総額が高くなるので注意が必要です。
金利以外のキャッシングの違い
キャッシングをする際、カードローンとクレジットカードでは金利以外にどのような違いがあるかを解説していきます。
借入限度額
一般的に、借入限度額はカードローンのほうが大きくなります。
カードローン | クレジットカード | |
---|---|---|
借入限度額 | 10万円~800万円 | 10万円~100万円 |
クレジットカードの利用限度額は、買い物に利用できる「ショッピング限度額」とキャッシングに利用できる「キャッシング限度額」とに分かれています。ただし、キャッシング限度額はショッピング限度額に内包されるため、ショッピング限度額を50万円で契約し、キャッシングで10万円を借り入れすると、ショッピングで利用できるのは40万円になります。
返済方法
カードローンとクレジットカード付帯のキャッシングの場合どちらも、返済する方法はATM、指定口座からの引き落とし、インターネット振込などを利用することができます。
返済方式
返済方式は、カードローンとクレジットカードのキャッシングで異なるので、それぞれご紹介します。
カードローンの場合
カードローンの返済方式はほとんどの場合が、リボルビング払いを採用しています。リボルビング払いとは、毎月の返済額が定額になる返済方法です。リボルビング払いにはおもに残高スライド元利定額リボルビング方式、元利定額リボルビング方式、元金定額リボルビング方式があります。
【残高スライド元利定額リボルビング方式】
カードローンのほとんどは、残高スライド元利定額リボルビング方式を採用しています。
残高スライド元利定額リボルビング方式とは、借入残高に応じて毎月一定額を返済する方法です。
とある金融機関の例として、具体的な返済額には次のようなものがあります。
- 借入残高が10万円以下の範囲内では、毎月の返済額は2,000円
- 借入残高が10万円超~20万円以下の範囲内では、毎月の返済額は4,000円
- 借入残高が20万円超~30万円以下の範囲内では、毎月の返済額は6,000円
- 借入残高が30万円超~40万円以下の範囲内では、毎月の返済額は8,000円
- 借入残高が40万円超~50万円以下の範囲内では、毎月の返済額は1万円
- 50万円超から借入残高が10万円増えるごとに2,000円増加
このように毎月の返済額は定額ですが、借入残高に応じて返済額が変動します。
【元利定額リボルビング方式】
元利定額リボルビング方式とは、元金と利息を合計した金額を一定額として毎月返済する方式です。毎月の返済額が一定であるため、管理しやすいことが特徴です。
例えば、毎月の返済額が1万円の場合、元金+利息の合計が1万円になり、毎月の返済額は1万円と一定になります。
利息分と元金分の内訳は毎月変動するため、借り入れ当初は、元金に対して利息分の割合が大きく、元金が減りにくい傾向にあります。
【元金定額リボルビング方式】
元金定額リボルビング方式は、毎月の元金が一定で、利息が上乗せされた金額を返済する方式です。毎月返済する元金が1万円とすると、1万円+利息が実際の返済額になります。毎月の返済額は変動しますが、残高の減りが分かりやすい特徴があります。
クレジットカード付帯のキャッシングの場合
先ほど借入限度額をご紹介した金融機関Bは、リボルビング方式と一括払い方式を採用しています。リボルビング方式はカードローンと同様で、一括払い方式は元金と利息の合計を一括払いする方法です。
返済回数
一般的にはカードローンは、借入残高に応じて返済回数(返済額)が決まります。一方で、クレジットカード付帯サービスのキャッシングは、一括返済か分割返済か選択し、毎月の返済額が決まります。返済回数の上限を72回や80回と定めている金融機関もあります。
融資のスピード
カードローンは金融機関によって利用できるまでの時間が若干異なり、銀行の融資は最短で申込みの翌営業日に受けることができます。
消費者金融は審査で問題がないと判断されれば、最短即日で融資が受けられます。インターネットでの申込みになりますが、借り入れをする際は最寄りの店舗でカードを受領しATMを利用する以外にも、振込やアプリを使う方法もあります。
対してクレジットカードは、申込み時にキャッシング機能をサービスとして付帯していた場合は、限度額の範囲内ならばすぐに利用ができます。キャッシング機能がついていないクレジットカードは別途で申込みが必要になるので、審査が通ったとしても利用できるまで1週間~2週間を要する場合が多いです。
融資のスピード | |
消費者金融カードローン | 早い(最短30分から) |
銀行カードローン | 最短翌営業日から |
クレジットカード(キャッシング機能設定済) | お手持ちのクレジットカードですぐに利用可能 |
クレジットカード(キャッシング機能未設定) | 利用申込みをしなければならず、1週間~2週間かかる |
使いみち
カードローン・クレジットカードのキャッシングともに原則として借入金額の使いみちは問いません。一時的な生活費の不足を補う目的でも利用は可能です。
他のフリーローンや目的別ローンの場合、利用する度に申込みをして審査を受けなければなりません。しかし、カードローンやクレジットカードのキャッシングは、限度額の範囲内であれば何度でも借り入れすることができます。
遅延損害金
返済日から遅れた日数分の延滞利息として、遅延損害金が発生します。金融機関によって金利は異なりますが、元本に対して年率20%が上限と規定されています。 なお、遅延損害金は次の計算式で算出することが可能です。
10万円×20%÷365×10(日)=約580円
遅延損害金は通常の金利よりも高くなりますので、発生させないように気をつけましょう。
キャッシングの使い分け
カードローンとクレジットカード付帯サービスのキャッシングの違いをお伝えしましたが、実際利用するとなると、どのように使い分けすればよいのでしょうか、それぞれの状況によってご紹介します。
カードローンを利用するべきシーン
カードローンは、以下のようなシーンで利用するとよいでしょう。
ある程度まとまったお金が欲しいとき
カードローンは数百万円単位での借り入れも可能で、使い勝手が良いと言えるでしょう。クレジットカード付帯サービスのキャッシングの限度額は、多くても100万円程度です。
金利を低くしたいとき
カードローンは、クレジットカードの金利よりも低くなる場合が多いです。少しでも返済額を少なくしたい方は、カードローンを選ぶとよいでしょう。
クレジットカード付帯サービスのキャッシングを利用するべきシーン
キャッシングを利用することがあまりない人でも、思わぬ出費が続いて生活費が不足するようなことは起こり得ます。しかし、そのためにキャッシング用のカードを作るのもどうか……、と思う方はクレジットカードのキャッシングを利用するとよいでしょう。
キャッシングの注意点
ここでは、カードローンやクレジットカードに関わらず、キャッシングを利用する際の注意点について解説します。
利息
借入金額が少なくてすぐに返済できる額なら、利息は大きな負担にはならないかもしれません。しかし利息は、金利が高く、借入金額が多く、返済期間が長いほど負担が増えるので注意が必要です。 ここでは、50万円を5年間借り入れする場合、金利の違いによる利息の差額を見てみましょう。
金利 | 利息 | 金利4%との差額 |
---|---|---|
4% | 52,464円 | - |
7% | 94,007円 | 41,543円 |
15% | 213,682円 | 161,218円 |
18% | 261,781円 | 209,317円 |
4%と7%では約42,000円、4%と18%では実に約210,000円の差がでるため、どの金利で借り入れするかは重要です。金融機関や商品によって金利設定に違いがあるため、比較してから申込みましょう。
手数料
提携金融機関のATMなどでは、手数料がかかる場合とかからない場合があります。手数料がかかる場合は、借入時・返済時ともに1回あたり110円または220円程度が必要になります。
住宅ローンなどの借入審査への影響
住宅ローンを利用する場合は、金融機関に現在の借入金額を申告する必要があります。住宅ローンの審査では、他の借入状況も総合した「返済負担率」という基準が重視されるためです。
返済負担率とは、年収に対して年間返済額が占める割合を指します。
返済負担率の計算例
年収400万円の人が住宅ローンの返済額を年120万円(金利含む)に設定すると、返済負担率は30%になります。このくらいの負担率なら、住宅ローンの融資を利用できる可能性は高いでしょう。
反対に、返済負担率が高くなると、金融機関はなかなか融資をしてくれないため注意が必要です。
カードローン50万円の利用があった場合の返済負担率
年収400万円の人が、上記の住宅ローンに加えて50万円のカードローンを利用していると、返済負担率は42.5%になります。返済負担率がこのくらい高くなると、住宅ローンを利用することはかなり厳しいと見てよいでしょう。
このように、住宅ローンや自動車ローンなど金融機関でローンを組む際には、キャッシングの利用額が影響してきます。ローンを検討している人は、申込みをする前にキャッシングの利用額を減らしておきましょう。
また、今までの生活費に毎月の返済額が加わり、返済が思うようにできなくなれば、普段の生活に影響が出ます。計画的に借り入れをするように心がけましょう。
延滞に注意
返済日に振込を忘れる、あるいは引き落とし口座の残高が足りなくて返済できなかったということがあると、信用情報に傷がつきます。その結果、借入限度額が引き下げられてしまうことがあります。
クレジットカードの場合でも、ショッピング枠やキャッシング枠の利用限度額が引き下げられたり、状況によってはゼロにされてしまったりすることがあるので注意が必要です。
利用できないケース
利用者の過度な借り入れや多重債務を防止するために、金融機関は審査基準を設けています。年収に対して過度な借り入れをしていると、キャッシングを利用できなくなる場合もあるので注意しましょう。
まとめ
キャッシングはカードローンと、クレジットカード付帯サービスのキャッシングの2つに分けられます。
カードローンのうち銀行カードローンは、限度額は高額で金利が比較的低く設定されていることが特徴です。現在借り入れしているクレジットカード付帯サービスのキャッシングの金利が、銀行カードローンよりも高ければ、借り換えを検討し、毎月の返済額を減らすのも一つの手です。
消費者金融カードローンは、限度額が少額に設定されることが多く、金利は銀行のカードローンよりやや高くなるという特徴があります。また最短30分から借り入れが可能になる場合もあるので、急にお金が必要になったときにおすすめです。
そして、クレジットカードのキャッシングは利用限度額が小額で、金利はやや高めに設定されている点が特徴です。いずれも契約時の保証人や担保は不要となります。
不意の出費が重なって生活費が不足したときなど、キャッシングはとても便利なサービスです。
しかし、過度な借り入れが続くと、新たなローンを組む際の審査に影響をおよぼすことがあります。キャッシングを利用するときは返済期間や返済額など、あらかじめ計画を立てて利用するようにしましょう。
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文/金子 賢司