高額になりがちな医療費を支払う際は、医療ローンの利用が便利ですが、申込む際に不安を感じる人もいるでしょう。
審査に不安を感じる場合は、審査で確認される内容や、審査が厳しくなる条件を理解しておくことで対策できます。例えば、正社員やアルバイトなど、属性の違いが審査に与える影響も気になるかもしれません。
この記事では、医療ローンの審査で確認される内容や、アルバイトでも利用できる可能性はあるのかを解説します。また、審査に通らない場合の対処法も紹介するので、医療ローンの利用を検討している方は参考にしてください。
医療ローンはどのような用途なら契約できる?
医療ローンは、医療行為に対する費用の支払いに利用できるローンです。目的別ローンの一種で、医療行為以外の用途に利用することは認められていません。
医療行為であれば、たとえ保険が適用されない内容でも利用することが可能です。利用できる場面としては、以下のようなものが挙げられます。
- 入院、手術費用
- 先進医療治療費用
- 歯科治療費用
- 美容医療費用
- レーシック費用
医療ローンの対象となる用途は、取り扱っているローン会社によって異なります。そのため、ローンを利用する前に、自身の用途が対象であるか確認しておきましょう。
医療ローンの審査は厳しい?
医療ローンに限らず、ローンを利用する際は審査の通過が不可欠です。どのようなことが確認されるのか、どれくらい厳しく審査されるのか気になる人も多いでしょう。ここでは、審査基準や確認される内容を説明するので、医療ローンを検討する際にお役立てください。
審査基準を正確に把握するのは難しい
医療ローンは、資金使途が自由なカードローンやフリーローンと比較すると低金利で借りられる傾向があります。金利が低いこと自体はメリットですが、その分審査で資金使途の確認などが多くなる点も理解しておく必要があるでしょう。
ローンを提供する会社は、貸し倒れリスクを回避するために、さまざまな要素から総合的かつ慎重に判断します。審査基準や契約条件は、利用するローンや会社によって異なります。審査に通る可能性を高めたい場合は、審査で不利になる条件について知り、自身に当てはまる要素がないか確認することが大切です。
金融機関が審査で確認すること
医療ローンを利用する際、金融機関の審査で確認する内容は申込む人によって異なります。ただし、返済能力に強く影響する以下のような項目は、誰が申込んだとしても確認される可能性が高いと考えられます。
- 信用情報
- 収入
- 勤続年数
- 申込履歴
信用情報には、現在の借入状況だけでなく、これまでの滞納履歴や債務整理を行なった履歴なども登録されています。申込時の申告内容と信用情報に相違点があった場合、信用を失い借り入れが難しくなる可能性があることに注意が必要です。
また、ローンの返済は長期にわたるケースが多いため、勤続年数などを指標として、安定して返済できるかどうかも審査される可能性が高いです。
銀行の医療ローンと信販会社の医療ローンで審査の厳しさに違いはある?
医療ローンを提供する金融機関には、銀行や信用金庫と、信販会社があります。銀行の医療ローンは、信販会社よりも金利が低めに設定されているのが特徴です。一般的には、銀行と信販会社の医療ローンでは、銀行のほうが審査は厳しいと考えられます。
銀行のローンに申込む際は、金利が低めというメリットだけではなく、審査が比較的厳しいというデメリットも理解しておくことが大切です。慎重に審査する必要があることから、審査結果がわかるまでの時間も長くなるでしょう。
医療費の支払い期日が迫っている場合は、信販会社を選んだほうが早くローンを利用できるかもしれません。金利の低さも魅力的ではありますが、自身にとって重視すべき要素を見極めて利用することが大切です。
医療ローンの申込みから審査の流れ
ここでは、ローンの申込み手続きに必要なものや、申込みの具体的な流れを紹介します。なお、ローンを利用するまでは、自身で医療費をまかなわなければなりません。審査に要する時間も理解し、医療費の支払いを問題なく済ませられるように準備しておきましょう。
審査前に用意しておくもの
医療ローンの審査で必要になるものは事前に調べておき、不足がないように用意します。なお、契約する人の属性や利用するローン、銀行か信販会社かによって必要なものが異なります。一般的にローンの審査で求められるものは、以下のようなものです。
- 本人確認書類
- 収入証明書類
- 資金使途が確認できる書類
資金使途の確認には、パンフレットや見積書、請求書といった書類が必要になるため、滞りなく審査を進められるようにあらかじめ用意しておくと良いでしょう。
申込みの流れ
銀行のローンは金融機関のウェブサイトで、信販会社のローンは提携する医療機関の窓口で手続きを行うのが一般的です。
必要書類が確認され次第、審査が開始されます。審査段階では、提出種類の内容と併せて信用情報が確認されます。申込先の審査基準に沿って総合的に判断され、問題がなければ契約手続きへと進みます。
銀行の医療ローンでは、仮審査と本審査の2段階で行なわれるのが特徴です。仮審査はあくまでも簡易的な審査であり、本審査の通過を保証するものではありません。契約手続きを行うためには、本審査の通過が必須です。
審査にかかる時間はどれくらい?
前述したように、銀行のローンは審査が2段階で行なわれるため、最終的な結果がわかるまでに時間を要します。早ければ1日、長ければ2週間ほどかかると考えておくと良いでしょう。
信販会社のローンを利用する場合、早ければ数十分~1時間ほどで審査結果がわかります。ただし、申込んだ人の属性や希望金額によって審査に要する時間は異なるため、審査に数日かかるケースもあることを理解しておきましょう。
医療ローンの審査が通らなかった!考えられる理由はおもに6つ
利用するローンや会社の違いによって審査基準は異なりますが、一般的に審査の通過が難しいと考えられる理由はいくつか挙げられます。ここでは、医療ローンの審査に影響すると考えられる理由を6つ紹介するので、申込みの前に確認しておきましょう。
信用情報に問題があった
ローンの審査では、返済能力を判断する材料の一つとして、信用情報を照会する方法が採用されています。これまでに金融事故を起こしている場合は、返済が滞る危険性があるとみなされ、審査の通過は厳しいでしょう。
収入が不安定
収入のある人でも、毎月の収入金額に大きな変動がある場合は、審査の通過が難しくなります。ローンを利用する場合、毎月一定の返済金額を長期間にわたって支払うのが一般的です。そのため、収入面では金額だけでなく安定性も重要視されます。
特に、シフト制の仕事は、正社員よりも変動幅が大きくなる可能性があるため注意が必要です。例えば、ある月の収入が30万円だったとしても、翌月の収入が15万円に減少するケースでは、収入の変動幅の大きさが審査に影響すると考えられます。
また、フリーランスとして働いている人も、正社員と比べて安定性に欠けると判断される可能性は高いでしょう。派遣社員や契約社員で働いている人の場合は、在籍期間が長いことで安定性が認められる可能性があります。
在籍確認を行えなかった
ローンを扱う会社によって審査方法は異なりますが、医療ローンを利用する場合は在籍確認を行う可能性が高いと考えられます。在籍確認は、本人情報の職業が事実かどうかを確認するために行なわれるものです。
ローン会社の担当者が職場に電話をかけ、申込者が働いていることが確認できれば、在籍確認は完了します。なお、在籍確認を拒否した場合、審査を通過するのが難しくなります。
勤続年数が浅かった
前述したように、医療ローンでは安定性が重要視されます。そのため、就職して間もない、あるいは転職して間もない場合は、審査の通過が難しいかもしれません。安定性があると評価されるためには、少なくとも2年~3年は同じ職場で働いているのが理想です。
勤続年数が長ければ、勤務先の経営状況が安定していることの証明にもつながります。滞りなく返済するためには、リストラや倒産の可能性が低い企業で働いていることも重要な要素です。
経営状況が良好な企業に勤務しているからといって、勤続年数が浅い人の審査が有利になるとは限りません。勤続年数が足りていないと感じるのであれば、期間を置いてから申込むと良いでしょう。
他社で借り過ぎている
すでに複数社から借り入れしている、あるいは多額の借り入れがある場合は、審査が通らない可能性が高まります。借入履歴は信用情報に記録されているため、他社からの借入金額をごまかすような行為は通用しません。
審査通過が難しくなる理由は、返済負担率が高いことで、返済が滞る可能性があると判断されるためです。他社から借り入れしている場合は、その返済金額も含めて返済負担の割合が計算されます。
審査を通過するためには、借り入れしている他社の残債をあらかじめ返済するなど、返済負担を軽減する対策を講じてから申込むのが賢明です。なお、分割払いで購入したスマートフォン代も、借入金額に含まれます。
申込内容に不備があった
申込情報に間違いがあった場合、故意でなくても虚偽申告と判断される可能性があるため注意が必要です。明らかなミスと判断できる内容であれば、ローン会社からの確認によって訂正できるケースもありますが、訂正作業を経ることで審査時間が延びる可能性があるでしょう。
また、提出書類に不足が確認された場合も、再確認の手間が増えて審査時間が延長する原因になります。申込内容の確認は念入りに行なってください。
【ケース別】医療ローンの審査に通る?通らない?
正社員として働いている人以外が医療ローンを利用したい場合、審査を通過できるのでしょうか。ここでは、さまざまな立場の人の例を紹介します。
アルバイトやパートの場合
医療ローンを利用するうえで重要視されるのは、年齢が18歳以上であることや安定した収入があることです。そのため、正社員でなくアルバイトやパートとして働いている人でも、審査に通る可能性はあるでしょう。
18歳未満の場合
18歳未満の場合、自身の名義ではローンに申込めないため、保護者名義で申込むことになります。申込みの段階で保護者の承諾が必要であり、事前にローンの利用について話し合っておかなければなりません。
ローンの利用を保護者に伝えたくない場合は、18歳になるのを待つという選択肢もあります。ただし、18歳以上でも、連帯保証人が必要なケースがあることを理解しておきましょう。
収入がない人の場合
収入がない人でも、医療ローンを利用できる可能性はあります。ただし、収入がない人の申込みについては、ローン会社ごとに設定している条件が異なるため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
専業主婦(主夫)の場合は、配偶者名義で申込む、あるいは配偶者が連帯保証人になることで申込めるケースがあります。
他のローンを利用する選択肢もある!
医療費の支払いに利用できるローンとして、カードローンやフリーローンなどがあります。医療ローンと他のローンの違いを理解することで、医療ローンよりも自身に適したローンが見つかるかもしれません。
ここでは、医療ローン以外の選択肢について解説します。
カードローンやフリーローンの特徴
カードローンやフリーローンは、事業目的などを除いて原則自由な用途で利用できるローンです。近年ではスマートフォンで手続きを進められるなど、利便性も向上しています。それぞれの魅力を理解し、医療ローンの代替として利用することを検討してみてはいかがでしょうか。
カードローンは、借入限度額の範囲内でいつでも自由に借り入れが可能です。手続きがスムーズにいけば、申込みから最短即日で利用できるローンもあります。
フリーローンは借入可能回数が1回であり、追加の融資を受けたい場合は再度申込む必要があります。カードローンよりも制限される要素に思えるかもしれませんが、返済計画が立てやすいことはメリットといえるでしょう。
まとめ
医療ローンとは、利用目的が医療行為に限定された目的別ローンの一種です。保険が適用されない自由診療など、医療費が高額になってしまう際に役立つローンといえるでしょう。
銀行や信用金庫などの金融機関と信販会社では金利や手続きに要する時間などに違いがあるため、それぞれの特徴を理解した上で申込みしましょう。医療費以外にも利用する場合や、融資までのスピードを重視する場合は、他のローンでの契約も一度検討してみるとよいでしょう。
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文/齋藤 彩