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FPが解説!ローンのあれこれ!誰もが気になるローンのあれやこれや

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第62回 住宅ローンの借り換え諸費用はいくら?諸費用の工面が難しい際の対処法 (2023年12月27日)

電卓と家の模型の画像

住宅ローンの返済負担を抑えるために借り換えを検討している方のなかには、借り換え諸費用はどれくらいかかるのか知りたい方もいるのではないでしょうか。また、借り換え諸費用をできるだけ安く抑える方法があるなら知っておきたいところです。
 住宅ローンの借り換え諸費用は、借り換え時の住宅ローン借入残高によって変動しますが、一般的に30万円〜100万円程度かかります。
 諸費用をできるだけ安く抑えたい場合は、事務手数料が安い住宅ローンに借り換えたり、保証料を一括前払い方式(外枠方式)・金利上乗せ方式(内枠方式)どちらで支払うか検討したりすることがポイントです。
 この記事では、住宅ローンの借り換え時にかかる諸費用の相場や、諸費用の工面が難しい場合の対処法について解説します。

住宅ローンの借り換えをするメリット

住宅ローンの返済負担を軽減する方法として、「住宅ローンを借り換えする」が挙げられます。しかし、借り換えは誰にでもメリットがあるわけではありません。

以下のケースに当てはまる方は住宅ローンの借り換えを検討してみましょう。

  1. 毎月の返済額の負担を軽くしたい
  2. 金利上昇リスクを考慮して固定金利にしたい
  3. 団信保険の新規加入で補償内容を充実させたい

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

毎月の返済額の負担を軽くしたい

出産やライフスタイルの変化が理由で出費がかさむと、契約時に設定された返済額では負担が大きくなる可能性もあるでしょう。そういった際に、住宅ローンを借り換えて金利が下がれば、毎月の返済額はもちろん返済総額の減額も可能です。

まず、金利の違いで返済額にどれくらいの差が生じるか確認してみましょう。ここでは借入金額3,000万円・返済期間35年・元利均等返済ボーナス払いなし、金利が1.5%と0.5%の2パターンで、将来的な金利変動がない前提でシミュレーションします。

金利 毎月の返済額 返済総額
1.5% 91,855円 38,579,100円
0.5% 77,876円 32,707,920円
差額 ▲13,979円  ▲5,871,180円

参照:住宅ローンのかんたん返済額シミュレーション|イー・ローン

上記のように金利が1.5%と0.5%では、毎月の返済額が14,000円ほど、返済総額は587万円ほどの差があります。しかし、これはあくまで同時に借り入れをスタートした場合の違いです。借り換えの場合は、残りの返済期間と借入時の諸費用の金額により軽減効果に差がでるため、正確にシミュレーションするようにしましょう。

参照:住宅ローンのこだわり借り換えシミュレーション|イー・ローン

金利上昇リスクを考慮して固定金利にしたい

変動金利の住宅ローンの場合、金利上昇リスクがあることを頭に入れておかなくてはなりません。変動金利では、金利が変動するたびに元金と利息の割合が見直されるため、金利が上昇すると返済総額も増えます。

金利上昇リスクを回避するには、金利が上昇する前に固定金利に借り換える必要があります。ただし、一般的に固定金利は、変動金利よりも金利が高い傾向にあります。

団信保険の新規加入で保障内容を充実させたい

住宅ローンを借り換えると、新規加入する「団信(団体信用生命保険)」や「特定疾病保障保険」によって、保障内容を充実させられる場合があります。

例えば、がん・心筋梗塞・脳卒中といった重度の疾患になった場合に、借入残高が0円になる保障を用意しているケースも珍しくありません。

金融機関によっては、「病児保育や家事代行サービス」や「自然災害時返済一部免除特約付き」といった住宅ローンを用意しているところもあります。

住宅ローンの借り換えにはどのような費用が発生する?

家の模型の上でスーツを着た男性が手をかざしている画像

住宅ローンを借り換える場合、どのような費用がかかるのでしょうか。大きく分けると、以下のような費用が発生します。
・借り換え先の住宅ローンの手続き関連で発生する費用
・契約中の住宅ローンの手続き関連で発生する費用
・その他発生する可能性のある費用
ここからは、それぞれの費用について具体的に確認していきましょう。

借り換え先の住宅ローンの手続き関連で発生する費用

借り換え先の住宅ローンを契約する際にかかる費用としては、おもに以下が挙げられます。

項目 想定金額
印紙税
※Web契約の場合は不要
借入金額により異なる
例)1,000万円超5,000万円以下:20,000円
5,000万円超1億円以下:60,000円
事務手数料
※必要有無は住宅ローンにより異なる
定額型:33,000円〜55,000円程度
定率型:借入金額×2.2%程度
保証料
※必要有無は住宅ローンにより異なる
一括前払い方式:借入期間・借入金額で算出
金利上乗せ方式:適用金利に年率+0.2%程度
保証会社事務手数料
※必要有無は住宅ローンにより異なる
11,000円〜55,000円程度
抵当権設定費用 登録免許税:借入金額×0.4%
司法書士報酬:50,000円~150,000円程度

印紙税は、課税対象となる文書の作成に必要な税金です。課税対象の文書に収入印紙を貼って、納税しなければなりません。ただし、Webで契約する住宅ローンは紙の文書がないため、印紙税は不要です。

事務手数料は、借り換え先の住宅ローンの手続きで必要な事務作業に対する手数料です。事務手数料には、一般的に「定額型」と「定率型」の2種類があります。

保証料は、住宅ローンの返済ができなくなった場合に、保証会社の保証を受けるために支払う費用です。保証料の支払い方法には、大きく分けて「一括前払い方式」と「金利上乗せ方式」があります。

保証会社事務手数料は、保証会社に保証を委託する際にかかる費用です。

抵当権設定費用とは、いわゆる登記費用のことです。新しく住宅ローンを契約する際は、借り換え先の金融機関で改めて抵当権を設定しなければなりません。手続きは司法書士が担当し、報酬の支払いが必要になります。なお、報酬額は司法書士が物件の内容などにより決定しますので明確な基準があるものではありません。

契約中の住宅ローンの手続き関連で発生する費用

契約中の住宅ローンの手続き関連で発生する費用としては、以下の項目が挙げられます。

項目 想定金額
全額繰上返済手数料
※必要有無は住宅ローンにより異なる
5,500円〜33,000円程度
保証会社事務手数料
※必要有無は住宅ローンにより異なる
11,000円~55,000円程度
抵当権抹消費用 登録免許税:不動産1件につき1,000円
司法書士報酬:借り換え先住宅ローンの報酬に含まれる

全額繰上返済手数料とは、契約中の住宅ローンを繰上返済するために支払う手数料です。金融機関によっては、手数料がかからないところもあります。

保証会社事務手数料は、保証料の支払い方法として「一括前払方式」を選択している場合に、保証料の返金にかかる手数料です。「金利上乗せ方式」の場合、保証料の返金はないため、保証会社事務手数料もかかりません。

抵当権抹消費用は、抵当権の抹消手続きを行なう際に発生する手数料です。司法書士報酬は、一連の借り換え手続きにかかる分を合わせて支払うのが一般的です。

その他発生する可能性のある費用

ほかに、以下のような費用がかかるケースがあります。

  • 火災保険料/地震保険料
  • 団体信用生命保険料 など

火災保険料は、住宅ローンを契約する際に加入が義務づけられている場合がほとんどです。具体的な火災保険料は、戸建て住宅やマンションなどによって異なります。

団体信用生命保険料は、金利に含まれている場合や銀行負担となる場合も珍しくありません。ただし、「8大疾病団信」や「がん団信」といった特約を付ける場合は、金利が上がったり保険料の支払いを求められたりすることもあります。

住宅ローン借り換え時はお金が返金されるケースもある

住宅ローンを借り換える際は、さまざまな費用が発生する一方で、返金されるケースもあります。お金が返金されるケースとしては、以下の2つです。

  • ケース1.一括前払い方式(外枠方式)で保証料を支払っている場合
  • ケース2.火災保険を一度解約する場合

では、具体的にそれぞれのケースについて解説していきます。

ケース1.一括前払い方式(外枠方式)で保証料を支払っている場合

住宅ローンの借り入れ時に一括前払い方式(外枠方式)で保証料を支払っている場合は、繰上返済で短縮された期間分の保証料が返金されるケースがあります。

保証料は、一括返済後に返金されるのが一般的です。ただし、金融機関によっては、返金分を差し引いた金額を一括返済額とするケースも珍しくありません。

ケース2.火災保険を一度解約する場合

住宅ローンによっては、火災保険について借入期間と同期間の長期契約を融資条件としています。また、火災保険請求権に対して金融機関を質権者とする質権を設定するケースもあります。住宅ローンを借り換える際は、火災保険を一度解約できるタイミングで、残りの契約期間によっては保険料が返金される場合があります。

しかし、住宅ローンと火災保険は異なる契約のため、住宅ローンの借り換えと併せて火災保険を解約・新規加入する必要はありません。もちろん、現在の火災保険の補償内容を見直したい場合は、別の火災保険に加入するのも選択肢の一つです。

住宅ローン借り換え時の諸費用の工面が難しい際の対処法

重ねた両手の上に家の模型が乗っている画像

住宅ローンの諸費用は、住宅ローンの借入金額や支払い方法によって異なりますが、トータルで数十万円から100万円以上かかるケースもあります。
 そのため、返済負担を抑えることが目的のはずが、かえって諸費用を工面するのが難しく先に進められない場合もあるでしょう。そこでここからは、住宅ローン借り換え時の諸費用の工面が難しい場合の対処法について解説していきます。

手数料の負担が少ない住宅ローンに借り換える

書面契約での印紙税や登記に関わる登録免許税は、法律で定められているため安く抑えることができない費用です。そのため、諸費用の負担を抑えるには、手数料を安く設定している住宅ローンに借り換えることがポイントになります。

事務手数料に関しては、金融機関ごとに異なる金額が設定されており、0円のところもあれば数十万円かかるケースも珍しくありません。必ず複数の金融機関を比較しながら借り換え先を探しましょう。

保証料の支払い方法について検討する

住宅ローンの保証料には、一括前払い方式(外枠方式)と金利上乗せ方式(内枠方式)の2パターンの支払い方法があります。

一括前払い方式は、借り入れする際に一括で保証料を支払う方法です。金利上乗せ方式よりも、支払総額が少ない特徴があります。ただし、一括なので、ある程度まとまったお金を用意しなくてはなりません。

一方の金利上乗せ方式は、毎月の返済額に保証料分を上乗せして支払う方式で、借り入れ時の金銭的負担を抑えられます。しかし、毎月の返済額や返済総額が高くなる点がデメリットです。どちらの支払い方法が負担を減らせるか、よく検討すると良いでしょう。

諸費用分を上乗せできる住宅ローンを選ぶ

諸費用の工面が難しい場合は、諸費用分を上乗せできる住宅ローンを選ぶのも方法の一つです。諸費用をあらかじめ現金で準備する必要はありませんが、上乗せされた分の借入金額が増えるため、結果的に返済総額が増える点には注意が必要です。

まとめ

住宅ローンの借り換え諸費用は、借入金額や手数料/保証料によっても異なり、数十万円で済むケースもあれば、100万円以上かかってしまうケースも珍しくありません。

諸費用の工面が難しい場合は、住宅ローン保証料の支払い方法について検討したり、事務手数料などの諸費用を上乗せできる住宅ローンを検討したりしてみるのもよいでしょう。

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文/金子 賢司

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